もくじ
はじめに
新型コロナウイルス(COVID19)に効くとあらゆる薬がメディアでは紹介されています。今回私が紹介するのは本当に現場で現在使われている治療薬です。
まずはじめに基本としてこれらの治療薬は重症化が予測される人や症状が中等度以上ある人に使われています。
インフルエンザみたいに診断されたらタミフル®が処方される感覚ではありません。
子供(小児)や基礎疾患のない人に使われることはほとんどありません。
子供や基礎疾患のない人は解熱、鎮咳、去痰などの対処薬のみが一般的です。
- 高齢者(60歳以上から年齢に伴いあがっていく)
- 一部の妊娠後期
- 基礎疾患のある人
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 慢性腎臓病
- 糖尿病
- 高血圧
- 心血管疾患
- 肥満
- 喫煙
点滴:基本入院している人
レムデシビル(ベクルリー®)
用法用量 | 初回200mg、2日目以降100mgを30〜120分かけて点滴静注 |
投与日数 | 5〜10日 |
備考 |
|
トシリズマブ(アクテムラ®)
用法用量 | 8mg/kgを点滴静注 |
投与日数 | 1回のみ。8時時間以上開ければ1回に限り追加投与も可能。 |
備考 |
|
カシリビマブ/イムデビマブ(ロナプリーブ®)
用法用量 | カシリビマブ600mg/5mlとイムデビマブ600mg/5mlを主に点滴静注 |
投与日数 | 1回のみ |
備考 |
|
ソトロビマブ(ゼビュディ®)
用法用量 | 500mg/8ml |
投与日数 | 1回のみ |
備考 |
|
内服:外来で院内処方で対応、帰宅できる人
モルヌピラビル(ラゲブリオ®)
用法用量 | 1回800mg(4カプセル)を 1日2回 |
投与日数 | 5日間 |
備考 |
|
ニルマトレルビル/リトナビル(パキロビット®)
用法用量 | ニルマトレルビル1回300mg(2カプセル)とリトナビル1回100mgを1日2回 |
投与日数 | 5日間 |
備考 |
|
主に対処療法で使用される薬
- アセトアミノフェン(カロナール®)解熱・鎮痛
- デキストロメトルファン(メジコン®)鎮咳
- カルボシステイン(ムコダイン®)去痰
- デキサメタゾン(デキサート®)ステロイド、肺炎治療:高齢者にはヘパリンとセットで入院時対応
- ヘパリンNa注 :血栓予防:高齢者にはデキサート®とセットで入院時対応
今後期待する内服薬
エンシトレルビル(ゾコーバ®)
残念ながらR4.7.20の承認は見送られましたね
国産内服治療薬としてかなり注目されています
用法用量、投与日数に関しては臨床試験のデータはありますが、承認前なので変更する可能性があります。
承認、販売されてから詳しく取り上げる予定です。
現在はほとんど使用されていない
新規治療薬がでてきたので、あえて既存の適応異なるものを使う必要がなくなりました。
ファビピラビル(アビガン®)
元々はインフルエンザ治療薬。当初はかなり使用されていました。
イベルメクチン(ストロメクトール®)
元々は駆虫薬。
日本人ノーベル賞受賞もあり、期待が高い薬ではありましたが、当初からあまり使用はされていませんでした。
ゴールはどこなの?
感染症のゴールは一番は根絶なのですが、現実的に考えてこれは無理でしょう。
2つ目はウイルス自体の毒性が低下すること。感染力が強くとも毒性が弱まれば人への影響も少ないといわれています。しかし毒性が低下している証明はとても難しいことなのでなかなか厳しいでしょう。
最後により現実的なのは、インフルエンザみたいに診断されたら処方できる治療薬があることです。これは各国が勢力をあげて取り組んでいるので近い将来できるのではと期待しています。ただ、日本の承認は上記で上げたようにとても厳しいので、早くても2年以上はかかるのではないかと考えます。