もくじ
はじめに
薬剤師を始め医療従事者の皆さん!
腎機能正しく評価できてますか?
血液検査の結果だけ参考にしていませんか?
どうやってやるんだっけ?やばい全然わからない。そんな人必見。1から丁寧に解説します。
最後まできっちり読んだら何を使うかばっちりわかります。
より詳しく知りたい方はぜひおすすめ本で知識を深めてください。それではどうぞ!
血液検査でわかるもの
基本これらの指標は腎機能の重症度の分類に使用します。
薬物量の決定には用いません。
Scr(mg/dl)血清クレアチニン
クレアチニンは筋肉を構成する蛋白がエネルギーとして使われたあとの最終物質。
腎臓の糸球体より濾過され尿中に排泄される。
腎臓が正常に機能していれば尿中に排泄されるが、血液中のクレアチニンが多いということは、腎機能が障害されている。
↑で腎臓疾患疑い。
筋肉内で合成されるクレアチニンの量は筋肉量に比例するため、筋肉の病気を調べ るときにも検査される。
筋肉量が多い人は↑。少ない人は↓。
なので筋肉量が少ない高齢の小柄女性だと腎機能が悪いにも関わらず低い場合がある。
BUN(mg/dl)血中尿素窒素
尿素は主として肝臓でアンモニアから合成され腎臓の糸球体で濾過されて尿中に排泄される。
血液中の尿素に含まれる窒素分を血液尿素窒素という。
腎機能が低下すると、血液中の尿素窒素をうまく濾過できないため、血液中の尿 素窒素の量が多くなる。
↑で腎機能疾患疑い。
一時的な脱水でも↑になるので注意。
eGFRcr(標準化eGFR)mL/min/1.73m2
血清クレアチニンをもとに糸球体濾過量を推定した推算
体格を考慮していないので、上記3つの項目が同じなら30kgでも90kgでも同じ腎機能になります。
なのでこの指標は薬物の投与量設計には基本使いません。
- 194 × 血清クレアチニン-1.094 × 年齢-0.287×0.739(女性)
血清シスタチンC
酵素による細胞質や組織の障害を抑え、細菌・ウイルスの増殖を抑制するプロテア-ゼインヒビタ-※。
通常、腎機能検査として使用されている血清クレアチニンや尿素窒素は食事や筋肉量、運動の影響を受けるが、血清シスタチン C は食事や炎症、年齢、性差、筋肉量などの影響を受けないため、小児・老人・妊産婦などでも問題なく測定できる。
しかし、保険内ではで3ヶ月に1回しか測定できない。
※タンパク質を加水分解する酵素の活性を妨げる物質の総称。
計算してもとめるもの〜投与量決定〜
eCCr(個別化eCCr)mL/min
体重を用いるので標準化eGFRより正確。薬物投与量決定に用いる。
しかし体重が重いほど腎機能がよくなっていまう傾向。なので肥満患者は理想体重を入力。
それでも過大評価が懸念される場合は血清クレアチニン0.6未満の患者には0.6を代入すると精度があがる。
体表面積未補正eGFRcr(個別化eGFR)mL/min
個々の体格を考慮した腎機能。身長体重が考慮されているので精度が高い。薬物投与量決定に用いる。
しかし、痩せた患者ででは過大評価されてしまう。なので血清クレアチニン0.6未満の患者には0.6を代入すると精度があがる。
eGFRcys(標準化eGFRcys)mL/min/1.73m2 ・ eGFRcys(個別化eGFRcys)mL/min
血清シスタチンC値をもとにした推算糸球体濾過量。薬物投与量決定に用いる。
痩せた高齢者でも正確に腎機能に反映される。
軽症〜中程度の腎機能障害では血清クレアチニンより早く上昇するため有用。
末期腎不全だとシスタチンCが頭打ちになるので血清クレアチニンのほうが有用。
シスタチンCを用いるので保険適用の関係で3ヶ月に1回しか測定できない。
- eGFRcys=(104×CysC-1.019×0.996年齢×0.929女性のみ)-8
- 個別化eGFRcys=標準化eGFRcys× 患者の体表⾯積/1.73
まとめ
- eCCr(個別化eCCr)mL/min→肥満患者には理像体重を用いる
- 体表面積未補正eGFRcr(個別化eGFR)mL/min→血清クレアチニン0.6未満には0.6を代入する
- eGFRcys(個別化eGFRcys)mL/min→体格に関係なく使用可能。末期腎不全には×
WEBサイト〜計算ツール〜
メーカー配布の簡易版は複数ありますが、このサイトが比較もでき一番使いやすいです。
上記3つの式を体重、身長、性別、年齢、クレアチンニン、シスタチンCを入力するだけで計算してくれます。
しかも理想体重のCCrも算出してくれるのでマジで使いやすいです。
腎機能おすすめ本
腎機能に応じた投与戦略
基本これ!
小児に関してはあまり掲載はありませんが、大人の腎機能評価についてはすべて書かれています。
2016年発行なのでそろそろ改訂あるのでは?と期待していますが。。。
腎機能別薬剤投与量
なんと今年2022年改訂になって発売されたばかりの第4版です。
薬剤が腎機能別に表になって投与量が記載されているのでとても便利です。
現場の薬剤師としては欠かせない本のひとつです。
しかも、第4版から購入者特権としてスマホ等で検索できるWebを開設しています。
個人的にはWeb版は少し見にくいなと感じたので、さらなる改訂を密かに期待。。。
補足
上記本はほしいけど、病院、薬局は買ってくれないし、自分で買うには高いなーと思った方!
安心してください。Webで公開されています。
ただし転売や悪用NGです。あくまで任意で掲載してくれているので医療の現場で活用してください。
※日本腎臓病薬物療法学会が公開しています